オルゴール和時計 投稿者:CAPT 投稿日:2005/02/02(Wed) 13:39 No.424 | |
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ミラ様、ニコル様、harpmaster様 こんにちわ。 大変興味深いオルゴールつき尺時計のお写真を拝見させていただき、感動いたしております。 私はオルゴールと和時計のコレクターです。私が今までに拝見したオルゴールつき和時計は大別いたしますと、3種類になります。(1)オルゴールつき枕時計(注意 日本の江戸時代の枕時計はcarriage clockではなくjapanese bracket clock):時計の下にsnuff boxのムブメント(西洋のsectional comb)があります。(2)8-10 bellsつきの枕時計:これは西洋の8 bells musical clockに相当します。 (3)オルゴールつき尺時計:Q&Aの写真と同じものです。 私が拝見したオルゴールつき尺時計は写真のもととは異なります。尺時計には時打ちのものとそうではないものとがありますが、時打ちのもは非常に少ないです。また尺時計には円テンプのものと振り子のものがありますが、振り子のものは非常に少ないです。さらに上部に鐘が付いたものも非常に少なく、写真のような上部時打ちオルゴールつき尺時計はほとんど知られていません。したっがて写真の尺時計は大変貴重なものであり、でひ一度拝見させていただきたく思います。 本題の戻りますが、二枚目の写真のムーブメントは時打ちの機構とオルゴールの部分が一体になったものです。手前に見えるオルゴールの上の部分がcounter wheel(時刻の数を制御します。これは9,1,8,2,7,1,6,2,5,1,4,2と時計上部の鐘をならせます。オルゴールの裏に時打ち機構があります。オルゴールですが日本で製作されたものかどうか慎重に検討する必要があります。またこのような小さなオルゴールはオータマタによく見られますがsectional combではありません。 |
| Re: オルゴール和時計 ミラ - 2005/02/02(Wed) 16:19 No.427 | |
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CAPT様、皆様 こんにちは、CAPT様がこの書き込みをご覧下さっておられ良かったです。私はClockの方ですので、和時計は、全く解りませんが、オルゴールは、尺時計の錘の中に仕込まれているのですよね? そんなに貴重な時計とは知りませんでした。 定時制に替わった時に、海外に随分と持ち出されているようですね!この様な時計は、銘を入れた贋作もあるとか!! またこの時計の持ち主には、まだお会いした事は有りませんので、持ち主の話がオフィシャルなものかは確認が出来ませんが、私が見ても知識が全然無いので意味が有りません。CAPT様ならお解りに成ると思います。実物も拝見出来そうです。 Q&Aに、全体の写真を貼っておきます。 宜しくお願い致します。 |
| Re: オルゴール和時計 CAPT - 2005/02/02(Wed) 16:29 No.428 | |
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harpmaster様、皆様 この時計の仕組みについて解説させていただきます。尺時計は短冊時計とも呼ばれ、錘で動く時計です。このような時計は外国にはなく日本独自のもです。錘は下部の細長い木箱にあり、錘に時刻を示す針が取り付けられています。下部の木箱の表面にものさしと割駒(時刻を表す漢数字)が取り付けられています。割り駒は可動式で季節によって少し移動させます(暮れ六つ:日の入り、明け六つ:日の出)。これが一般の尺時計です。時打ちの尺時計は錘の代わりに時打ち機構(一般にリンを含む)が付き割り駒の裏につきでたピンにこのメカニズムが触れるとリンがなる仕組みです。このように時打ち機構は西洋の重力時計ににているかもしれません。時打ち尺時計にはリンが運針メカニズム(尺時計の上のメカニズム)の上についているものがあります(極めて稀)。このオルゴールつき尺時計は時打ち機構とオルゴールを一体化した極めて珍しいものです。オルゴールと時打ちのぜんまいはこの機構(おもりとして働く)を上部の運針メカのロッドをキイで上まで巻き上げてから運針メカの下の鍵穴から巻き上げるようになっています。また時打ちオルゴールのメカと運針用メカとは琴紐で連結されています。 |
| Re: オルゴール和時計 ニコル - 2005/02/02(Wed) 21:23 No.434 | |
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ミラ様、harpmaster様、CAPT様、こんばんは。 伝次郎作の時計に組み込まれたオルゴールが、本当に made in Japan なのか、それともスイス製なのか、を推定するためには、オルゴールを組み立てるための基礎部品や関連技術が既に当時の日本にあったかどうか、ということが重要な手がかりになると思います。 類似の技術や材料があって、それに手を加えるのと、一からすべてを作るのとは、技術的難易度に雲泥の差があります。(DIYでモノをを作るときに、東急ハンズ(例)があるかないか、は決定的に違います。) そうした観点から私が思いつくのは、当時の19世紀前半の日本に次のようなもの(又は技術)があったかどうか、です。
1)櫛歯の材料となる鋼は、刀剣用以外にも用いられていたのか。あるいは、鋼は刀鍛冶以外の者でもつくれるのか。 2)鋼をオルゴールの櫛歯の形状につくるための技術は既にあったのか。 3)鋼と鉛を接合する技術はあったのか。 4)複数の金属部品を接合するために、当時から(「ほぞ」や「かしめ」ではなく)金属ねじが使われていたのか。その場合、ねじのピッチはどのようなものが使われていたのか。 5)シリンダーのピンとなる細鋼線(ピアノ線のようなもの)はあったのか。 6)シリンダーを作るための黄銅の薄板はあったのか。 7)ピンを固定するために、シリンダー内部に松ヤニを充填するという方法が取られているとすれば、そのようなアイデアはどこかに似たようなものがあったのか。(日本的発想からすれば、木製の筒にピンを打ち込む方が自然だと思うのです。)
また、品質の確保は、「形」を真似るよりもはるかに難しいことです。伝次郎のオルゴールは、(きちんと調整すれば)オルゴール特有の澄んだ音を出すことができるのでしょうか?ちなみに、三協精機の試作第一号機は、「バケツの底を叩くがごとく」だったそうです。 オルゴールの櫛歯の材料となる炭素含有量については、なかなか微妙なものがあるようです。炭素含有量が少ないと軟鉄に近くなってしまうので、オルゴールらしい音が出ませんし、多すぎると粘りがなくなってもろくなってしまうようです。また、オルゴールに最適なのは「スウェーデン鋼」だそうですが、このような硬質の鋼は加工が難しいという難点があるそうです。(このため、最近のオルゴールは、スウェーデン鋼よりも炭素含有量が若干少ない(=加工がしやすい)材料が使われている、という話を聞きました。)
オルゴールが奏でる音楽もポイントの一つだと思います。ご案内のように、日本の音楽と西洋音楽では、「音階」と「和音」の2つの点で大きな違いがあります。 ・西洋音階は基本的に七音階、それに対して和音階は五音階 ・西洋音楽はポリフォニック(和音)が基本、それに対して日本音楽はモノフォニック(単音)が基本。言い換えれば、西洋が重層的なタテの和音であるのに対して、日本はヨコに流れる和音ということになります。 したがって、櫛歯の音階が七音階であるとか、編曲にタテの和音が使われるというのは変だということになります。 また、仮に伝次郎が、音楽まで手本としたオルゴールを模倣したとしても、そこは本物を知らない悲しさで、リズムなどがぎこちなくなるのが普通です。(オリンピックなどで流される「君が代」は以前はひどいものでした。最近は文化交流が進んだのか、変な演奏はなくなりましたが……)
長々と思いつくままを書き連ねてしまい、申し訳ありませんでした。 |
| Re: オルゴール和時計 harpmaster - 2005/02/02(Wed) 23:49 No.435 | |
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もうすでに私の見解は出しているので、ここで、さらに書きません。
ミラさま、亞陀さま この時計を実際に見ること、もしくは聞くことができるものでしょうか?百聞は・・・・と同じで音を聞いて実物を見るのが本当は判断は簡単です。 でも個人所蔵とのことですから、難しいのかもしれませんね!
CAPTさま さすが、専門家のご意見、楽しく読ませていただきました。
ひとつご質問ですが、江戸期にオルゴールをつけたものはかなり存在しているのでしょうか? また、この初代の作ったといわれるオルゴール付き時計は複数確認されているのでしょうか?
ニコルさま 私の知っている限りでは1,5,6は可能であったと思われます。また、6.と7の方法以外でシリンダーを作ったものは海外でもあったようなので、ただのソリッドな真鍮にピンを埋め込んだものなども考えられます。 日本の音楽と西洋音楽については、おっしゃる通りだと思います。
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| Re: オルゴール和時計 ミラ - 2005/02/03(Thu) 00:24 No.437 | |
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harpmaster様 ニコル様 CAPT様 こんばんは、この時計は、仲介してくれた方が、遠方で実際に見て調べて来て欲しいとの要望です。この尺時計の持ち主のご住所も解っておりますので、見て、聴かせて頂く事は可能と思います。持ち主も、本当の事を知りたがっていると言う事です。和時計学会の為にも是非真実をお伝えした方が、この先、文献として残るので、後世の為にもその方が良いかと思います。 |
| Re: オルゴール和時計 和時計師 亞陀 - 2005/02/03(Thu) 00:25 No.438 | |
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判らない事があります。オルゴール上部の刻数を制御します雪車の歯数ですが 9,1,8,2,7,1,6,2,5,1,4,2と有りますが、刻の間には1と2が混在していますが 半刻打ちであれば当然半打ち数は1ですが、2とは摩訶不思議です。またこれらの 数はオルゴールの回転数でしょうか?それとも鐘打ち数でしょうか? 本体上のサハリ製らしき鐘の制御機構を具体的に判れば嬉しいです。 またオルゴールの曲名も判れば是非ご教授下されば幸甚です。 錘は三味線絲に提げられ、本体の一番車に巻き込まれていますが、琴絲までの強度 は必要とは想われません。太過ぎて使い手が悪いのでは?オルゴールを取り付けて あるネジの刻みはヤスリで削られていますか?ネジは既に和鉄砲の銃身筒元で使用 され和ネジ製法も流布されています。ネジの形状で輸入物がどうか判別できませんか?
但しこの尺時計は日巻き故、毎日フックをずらしてガラスケースを取り外し 下の引き出した鍵で巻き、、なんて現代人の貴方に毎日出来ますか?
極小の振り子から察し、連結しますアンクル、雁木車の制度の確かさが想像され 手ヤスリ仕上げでミクロ単位の部品を創ったと想うと完全に常識の域を超えています。 おそらく、単純な弓で挽く手作りの精密旋盤と完璧なスケール? も有ったには違いないと想像しています。 |
| Re: オルゴール和時計 CAPT - 2005/02/03(Thu) 13:14 No.440 | |
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亜陀さま 和時計の時打ちの回数の件でご回答いたします。 半時打ちは奇数時(9,7,5)の後は一回、愚数時(8,6,4)の後は二回です。間違いはございません。 運針メカと時打ちメカは琴糸か三味線糸です。いずれにしても絹糸を数本あわせて撚ったものです。 時打ちのリンをならす方法はセイコー時計博物館蔵の和時計図録を参照してください。少し説明を加えておきます。時打ちハンマーのロッドが下部のキイをいれる引き出しまでのびており、これを時打ちメカから回転するようになっています。 |
| Re: オルゴール和時計 ニコル - 2005/02/03(Thu) 22:52 No.441 | |
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亞陀様 こんばんは。当時の日本にも和鉄砲の流れで和ネジというものが使われていたのですね。しかも洋ネジとは製法等において異なると理解していいのでしょうか? そうであると、これはオルゴールの素性を考える上で大きな手がかりになるような気がします。 |
| Re: オルゴール和時計 ミラ - 2005/02/03(Thu) 23:52 No.442 | |
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ニコル様 こんばんは、本日、亜陀様より、和時計の資料が届きました。まだ殆ど読んでいないのですが、確かに日本でネジを作る技術が有ったようです。製法も異なります。追って、深夜になると思いますが、亜陀様より、詳しい書き込みが有ると思いますので、お待ち下さい。宜しくお願いします。 |
| Re: オルゴール和時計 和時計師 亞陀 - 2005/02/04(Fri) 00:11 No.443 | |
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APT さま ご回答有り難うございました。小さいのにもかかわらず時打ち方は可成り手の込んだ作りには些か驚きました。「何もそのまでもしなくても」と想わせる職人根性に脱帽しました。 ニコルさま 和ネジの製法は原型となる鐵の段差の有る円棒に等間隔になるように絲を巻き付け、ネジの筋目を墨で書き込みます。その筋目にそって三角やヤスリで削りネジ目をつくり頭にマイナス切り目を入れると焼き入れすれば雄螺子が完成。 この雄螺子を加工すればタップが、このタップで螺子穴(雌螺子)を開ける。雌ネジに焼き入れ してダイスが、、大きな鉄砲の螺子は木型で創ったり、雄螺子から型を採ったりした方法も考えられてます。
さて、明治時代に輸入されたドイツ製の掛け時計ユンハンスはご存知かと想いますが、実はケースの殆どは国産です。ケース一式と機械のみに輸入では経費を考えても合点が行きます。 そのケースの寸法は尺貫法に元ずかず外国産と想われても仕方がありません。ところが、木工に使用した工具の幅が当時の尺貫法その物です。 上宮を差し込む穴を彫る為に用いられた幅の狭い鑿、擬宝珠穴を開けるドリルの径、隠れ釘の長さ等が正に厘分寸単位で国産の動かぬ証拠ではないかと視ております。 この論法から、尺時計のオルゴールもヒントになりませんか? |
| Re: オルゴール和時計 harpmaster - 2005/02/04(Fri) 00:49 No.444 | |
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ミラさま、こんんばんは 希望としては、実際に見てこの後の書き込みをして見たいと思いますので、ご手配の程よろしくお願い致します。
また、銘のことですが、どなたか資料をお持ちでしたら、他に打たれた初代の刻印を見せていただけるとありがたいのですが・・・・
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