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シリンダーオルゴール Cylinder Music Box |
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普通オルゴールというと、円盤が回るディスク式のオルゴールよりも、金属の筒が回るシリンダーオルゴールの方が多いのではないでしょうか? シリンダーオルゴールはディスクオルゴールよりも長い歴史を持ち、今でも現役で活躍しています。 組み込み用の量産される小型オルゴールは、三協精機(SANKYO)のものが世界的に見ても一番多く、非常に安価なために様々なものに組み込まれました。 それとほぼ変わらない原理のものが、ヴィクトリア時代に既にできていて、それが、家や車が買えるぐらいの高値でで売られて貴族達に楽しまれていたというのは驚きです。 勿論、アンティークのシリンダーオルゴールは大きさも大きく、一つのシリンダーで6曲から12曲ぐらいの曲を演奏するものが普通でした。 それは、高度な技術を必要とする職人の手により作られた工芸品であり、100年以上経った今でも素晴らしい音を聞かせてくれることはご存知の通りだと思います。 今では、シリンダーのピンを職人が1本1本植える手工芸こそは無くなってしまいましたが、100年の伝統を持つオルゴール会社もあります。 リュージュは小型のオルゴールを作り続けていたトーレンスの工場を吸収し今でもその技術をそのままにしてオルゴールを作っています。
シリンダーオルゴールの仕組み 部品の名称などだけではわかり難いと思いますので、下の写真の番号を参照してください。 基本的な操作 基本的な操作として、2のラチェットレバーを手前に引き上げることによって、10のスプリングモーターを巻きます。 10のスプリングモーターが巻かれて、6のスイッチ(スタートスイッチ)をON(にすると演奏が始まります。 また5のスイッチ(チェンジ・リピートスイッチ)を切り替えることにより、現在演奏されている曲を繰り返し演奏するか、次次曲をメドレーで演奏するかを切り替えることができます。 力の伝達 10のスプリングモーターは11の左横にあるギアを通して12のシリンダーを回転させます。そして12のシリンダーの右横にある15の大きなギア(グレートホイール)から小さなギアを組み合わせた14のガバナーへ伝達します。ガバナーの最後のギアである羽根(バタフライ=エアブレーキ)の広がり方にによって空気抵抗の大きさが変わり、速度が変化します。 音の出し方 これは説明するまでないですが、12のシリンダーに植え付けてあるピンが13のコーム(櫛歯)の歯を持ち上げてはじきます。 歯をはじいただけでは、本当に小さな音しかでません。 従ってそれを大きな音(振動)にするために、ベッドプレートという金属(鋳物)の台座に固定します。 ベッドプレートは、さらにボックスにしっかりと固定されてさらに大きな音を作り上げます。
ボックスの構造 これもあえて説明する必要も無いかもしれませんが、普通ボックスは上の写真のようなもので、4のキー(カギ)を開けて7のフタ(蓋=リッド)をあけると、まず目に入るのは1のチューンカードです。チューンカードには演奏する曲目が書いてあります。 そして、9のガラスを張った中ブタがあります。これは、シリンダーやコームは非常にデリケートで、触っただけで錆びてしまいますし、また演奏中に硬いものでも落とすとたちまちギアを壊したり歯を折ったりしますので、その対策です。 シリンダーオルゴールの種類 シリンダーオルゴールをさらに以下のような分類に分けることもできます。 1:曲数による分類 普通の現在のオルゴールだと、1曲演奏するもの(シングルプレイ)と複数の曲を演奏するもの(マルチプレイ)です。 複数の曲を演奏するものでも、シリンダーを交換して複数の曲を演奏できるもの(インターチェンジャブルやリボルバー)があります。 2:シリンダーの作成方式による分類 従来、シリンダーに職人がピンを1本1本植え込んで作っていましたが、量産がしやすいように合金の板にプレス加工をしてピン状の突起を押し出して作る方式が編み出されました。 ピン状の突起を押し出して作った板を円筒状に巻いてシリンダーを作ります。 量産のシリンダーの種類についてはシリンダーのタイプをご覧下さい。
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