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オルゴールの全盛 MUSIC BOX MAKER |
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オルゴールは、貴族を中心として、顧客を得て一大産業を生みました。 そして、オルゴール全盛の時代には沢山のオルゴールメーカーが競い合うようにアイディアを盛り込んだ新製品を出しました。 オルゴール全盛の時代は大きく分けてシリンダーオルゴールの時代とディスクオルゴールの時代の2つに分けられます。 シリンダーオルゴールのメーカー
オルゴールのメーカーといっても、シリンダーオルゴールの初期の時代には、その技術を持った職人の数だけあったことだと思います。 当時は完全に手作りで、各職人が各工房をもって作っていたために、粗悪品から、良品までいろいろあったと言われています。
もっとも、使いまわしのできる部品は、それだけを作っている工房がありました。つまり部品メーカーです。 土台になるベッドプレート、ガバナー、スプリングモーター(ゼンマイ)、シリンダー、ギア、ボックス(箱)、チューンカード(勿論曲名は書いていません。)、キーなどはそれ専門の工房があったと言われています。 オルゴールの製作工房は、それらの部品を仕入れて、シリンダーのピンを打ち、組み立て、調整して販売するわけです。 従って、一部の有名なメーカーを除いてチューンカードやパーツからメーカーを正確に割り出すことはできません。
当然、オルゴールは専門職ですから、ギルドのように師弟制で一人前になるにはそれなりの時間がかかったことだと思いますし、独立しなかった人も多数いたことだと思います。 ピンを一本一本打ち込む技術も、編曲の技術もすべて職人の腕と感性によって作られるわけですから、見た目は同じでも素晴らしいものからそうでないものまでいろいろあります。 その中でも、腕が良いとされる職人の手には多くの注文と高いレベルの音楽を要求されました。それらの優秀な職人は会社を作り、ブランドを築き上げました。 ニコルフレール、メルモフレール、ルクルトフレールなどフレール(兄弟)というよう名前から見ても当時、はやりだった兄弟で小さな会社を起業するケースが多かったのだと思います。これらの会社はオルゴール産業が発達するとともに大きな会社へと移行していきます。 シリンダーオルゴールのメーカーは何社あったのでしょうか? これについては正確に書かれている文献を私はまだ見ていませんがおそらく100社以上あったと思われます。 ほとんどの会社は幾つかの会社の技術的な流れがあったように思えます。また、その時代時代にあった流行やスタイルもあり時代を判別することができます。 中にはシリアルナンバーを設立時から刻んでいったメーカーもあり、それらが、そのオルゴールの製造年を判別することができる大事な手がかりとなっています。 初期のシリンダーオルゴールは、当然1曲の演奏から始まりました。 その曲数は時代とともに、2曲、4曲、6曲とだんだん増えていき、最大30曲ぐらいまでを1本のシリンダーで演奏できるものまで作られました。 また、幾つかのシリンダーを交換して多くの曲を鳴らそうとした、インターチェンジのタイプも作られました。 現代のオルゴールが多いもので4曲ぐらいまでですから、その時のオルゴールに対する人々の期待と要求はすごかったものだと思います。 アンティークのシリンダーオルゴールは現在でも多く残ってはいますが、ディスクオルゴールと違って、メーカーが判別できないものが多数あります。 オルゴールの本を1冊でも持っている人ならばわかると思いますが、オルゴール博物館や専門家が出している文献でも、メーカー不詳と書かれたものも多く有ります。 海外ではメーカーを判別させるための資料なども少なからず発行されていますが、銘やラベルが無かったり、部品を別のメーカーの代用品と交換されたいてりして判別できない物も少なくありません。
もともとオルゴールはヨーロッパの産業として根付きましたが、後に海外進出を図りました。 例えば、シリンダーオルゴールのメーカーでも有名なメルモフレールはアメリカの進出をするために、ニューヨークにジャコットミュージックボックス社を作り市場拡大を図りました。そしてその後、コレクターに愛されるステラやミラなどのディスクオルゴールを作り出しました。 また、シンフォニオンの流れを汲むポリフォンからも、アメリカへ進出しレジーナ社が生まれました。そしてディスクオルゴールの時代へと移り変わって行きます。 ディスクオルゴールのメーカー しかしながら、市場はディスクオルゴールの時代へと移行されました。 職人がシリンダーに1本1本がピンを埋め込む作業と、機械がディスクを大量に量産することとの価格を比べれば当然のことでしょう。 その市場は3大メーカーと言われるポリフォン、レジーナ、シンフォニオンによって支配されました。 当時オルゴールの世界市場を取った3大メーカーはいづれも関係がある会社です。 シンフォニオンから、メンバーが抜けて独立した会社がポリフォンで、さらにアメリカ市場開拓のためにアメリカに設立された会社がレジーナです。
世界のほとんどのディスクオルゴール市場を占める事になるわけですが、その影にはカリオペやアドラーなどの地域的に成功を収めたメーカーもありました。 またカリオペ社はポリフォン、シンフォニオンとともにドイツの3大メーカーと呼ばれることもあるようです。
オルゴールの応用につづく |
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オルゴールの全盛
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