C 取り扱い方
CARE & TREATMENT

C6 経年変化

How to keep the best condition 1

 

 

このホームページで扱う楽器はどれも数十年の歳月を経たもので、中には100年を越えるアンティークも存在します。

これらの今に残された楽器は減ることはあっても増えることはありませんから、後世に残すには保存方法を研究する必要がありました。

また、二度と手に入らないような希少な楽器は特に慎重にあつかわなくてはならないために専用のケースを作るなど工夫も必要です。

ヘタに、加湿器をつけたり、ケースの中に乾燥剤を入れるなどにより、逆に楽器に壊滅的なダメージを与えることさえあります。

そこで、私の今までのコレクションと経験を基にまとめてみました。

実際にこの保存方法で何十年も経過したわけではないので、正解なのかどうかはわかりませんが、このホームページの中に少なからずヒントがあるのではと思います。

なお、保存については次のページの保存方法に書きました。

楽器は、ほとんどが木や金属で出来ているため湿気がありすぎると木が曲がったり金属が錆びたりします。

また、湿度がなさすぎると木が割れることや、塗装がいたむことがあります。

特に一度湿度を吸った後に、急な乾燥には弱くほとんどの楽器は持ちません。

下に表で3つのケースにおかれたハープの保存状態をまとめました。

必ず、このような状態が該当するかどうかはわかりませんが、100年以上経っても綺麗なものもあるのですから、1つでも気づいたことがあれば実行してみたいと思います。

基本的に私は、オルゴール自動演奏オルガンなどの保存の方法を何年も苦しんできて、それらの解決方法がやっとわかってきた段階です。

さらに、言うと、弓型ハープサウンドボードの割れや、板状のハープサウンドホールから出てくる割れや、側板のソリなどにはなっ後の対処は非常に難しいことを痛いほど知らされているので、あえて以下の項目を皆様に公開してみようと思いました。


 

重要だと思われるポイント

乾燥剤を楽器のケースに入れるのは、あまり良くないと思われます。むしろ、室内の湿度を調節する必要があります。

湿度が高い場合はクーラーなどで適度な除湿をします。やりすぎはかえって悪影響になります。

加湿器は、楽器からできるだけ放した場所で使用。その際には必ず湿度計を楽器の近くに置くようにしましょう。

湿度計なくして加湿器を使うのは無謀です。

大きいハープよりも、小さいハープの方が湿度に弱い????

ハープは急な気温の変化には弱いです。

ハープを窓際や、太陽光線に当たる所に置かないようにしましょう。2・3ヶ月でも色あせします。

厚手のカバーをかけっぱなしにすることは、そのカバーが湿度を吸い込んでいた場合には致命傷を生みます。

ハープが汗をかくとそれは、もうすでにダメージを受けたことになります。速やかに拭いて別の場所に保管しましょう。

 

とにかく部屋全体の環境を良くすることが一番です。

 

乾燥過ぎな状態

DRY (dried condition)

経過時間と材質 金属 紙・布 塗装 ベークライト
100年
  ニッケルメッキは無変化、真鍮や鉄は多少酸化するが磨けば光る ほとんど問題はないが、糊がついた所などは亀裂が入ることがある   ほとんど無変化
75年
         
50年
      表面に細かい皺がでたりボロボロと崩れるものもある  
25年
早くもヒビが入ったり割れたりする        

 

加湿気味な状態

経過時間と材質 金属 紙・布 塗装 ベークライト
100年
  ニッケルや金以外は腐食(ニッケルもキズなどがあると腐食)     無変化
75年
    変質    
50年
         
25年
木のつなぎ目に狂いが出たり糊が取れたりする 錆びが出る 色彩に変化、糊がはがれたりカビが生える 下地にダメージがあるために剥がれたり気泡や水泡ができることや、波打つこともある  

 

最良の状態

経過時間と材質 金属 紙・布 塗装 ベークライト
100年
果てしなく新品のごとく綺麗でむしろ安定している ニッケルメッキは無変化、真鍮や鉄は多少酸化するが磨けば光る 色は多少変色するが綺麗 シェラックなどの塗装については全く損傷なし 無変化
75年
         
50年
         
25年
         

 

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