C 取り扱い方
CARE & TREATMENT

C1 調弦の方法

How to tuning

ご存知の通りハープは弦が多いものがほとんどで、中には100本を越えるものもありますから、演奏出来る状態にするために調弦(チューニング)をすることは大変です。

ピアノなどは調律士がいて、半年とか1年に1回調律をすればすみますが、ハープの場合には、ものによってはもっと頻度を高くしなくてはいけないものもあります。(ピアノはベース(台)が鋳物ですが、ハープは木なので)

したがって、自分で調弦(弦を調律すること)をできないと楽器として維持できないという事を意味しています。

これができるかどうかによっては、そのハープが居間に飾られて装飾品になるか、楽器になるかの違いがあります。

 

調律の前にどのような糸巻き(ペグチューニングピン)があるかをまとめてみましょう。

グランドハープケルティックハープアイリッシュハープ)などの場合

長い金属のピンが木に植え込まれて貫通しています。専用ツールで廻すことにより調弦できます。比較的調整が細かくできます。ハープピンと呼びます。

アルパコンサートチターの一部の弦や、ハープギターなどの場合

ギターなどに使われているようなペグがついているので手で容易にまわして調弦できます。

ペグはギアの比率によって1回転させても少ししか回らないので微調整ができるためです。

ライアーハープチターハンマーダルシマーなどの場合

短く細い金属のピンが木に植え込まれています。専用ツールで廻すことにより調弦できますが、微調整をすることが比較的難しいです。

その他民族楽器のハープなど

先が細くなっている木のピンを使っているために、つくりが悪いと廻しているうちにはずれたり、緩んだりします。バイオリンのように正確に作られたものはほとんどありません。

糸(弦)をただ木に巻きつけているだけのハープもありますが、正確なチューニングは必要ない場合が多いです。

 

以上の表の様にほとんどのもはチューニングピンを専用ツールで廻すことにより行います。

ピンは太いと太いほど抵抗があるせいか少しづつ廻すことができて、正確なチューニングが早くできるように思います。

 

調弦は、その時の状態によってよく考えておこなわなくてはなりません。

長い間、放置していたハープは、調弦をする前にその楽器のコンディションを再確認する必要があります。

ここでは 1:通常の調弦と、2:アンティークを入手した時の調弦と3:新しく買った時の調弦と分けて説明します。

1:通常の調弦

これは、音程がずれた弦を合わせればよいのでさほど難しくはありません。

と言っても慣れない人にとってはギターの弦でもなかなか合わせられない訳ですから説得力はありませんが、幾つかのコツがありますので、下の欄に書きます。

2:アンティークを入手した時の調弦

アンティークのハープを見つけて、弾こうと思ったときにまず問題になるのは調弦=チューニングです。

下の写真にあるようなチューニング用のシートがあれば最高ですが、無い場合でもチューニングをしないわけにはいきません。

そもそも、ほとんどの楽器は調律するべき音階がボディに貼られたデカールやラベルなどで書かれています。

しかし、ラベルがなくなっていたり、最初からどの音に調律したらよいかもわからないものさえあるので大変です。

そして、最も重要なことはどの音程で張っていくか?です。

アンティークの場合にボディなどの状態によっては、本来の音程に張ってしまうとボディが割れてきたり、ヒビが入ってしまいます。せっかく、何100年も保存された楽器でも、自分の手で一瞬にして壊してしまうのです。

これほど悲しいことはありません。

従って、従来の音階を変調して弦を下げて調律します。

もちろん本来の調に合わせた方が良いのですが、楽器のコンディションを考えて難しいと判断した場合には、もっと低い音に変調して調弦するしかありません。

特にサウンドホールの周りにヒビが入っていたり、背板が割れていた場合には、それを一旦補修したとしても、変調した方が良いと思われます。

全ての弦を(2度から6度ぐらいまで)下げれば良いのですが・・・・

低音弦の音量がなくなったり、高音弦が変にうなったり、バンジョーのようにペタペタした音になったときは下げすぎです。もう少し上げるようにしてみましょう。

いづれにしても、音程を上げる時にはあがり過ぎないようにゆっくり息を殺すぐらい慎重に廻して下さい。

ところで、ハープの弦の張力は全部合わせるとどれくらいあると思いますか?正解はこちら

 

3:新しく買った時の調弦

これは、簡単です。オートハープなど現行の商品の場合には、そのお店で音程があっているかを確認して合っていなかったらお店の人にやってもらうことです。

他の人が調弦しているのを見るのは参考になるかもしれませんし、もし弦を切ってしまったりした場合にお店の人の責任にできるので、「調弦してくれたら買います。」と言うのが良いのではないでしょうか?

本来出荷時には調弦をして出荷するものですから、ほとんどの場合はあまり狂っていません。

 

 

1:調弦のコツ

これはどのハープにも共通していますが、自分の音感が養われない時には調弦は本当に苦労します。

従って初心者は、調弦は慣れだと自分に言い聞かせて、あせらずゆっくりと1本1本時間をかけて調弦しましょう。

1本20分かかっても、ほとんどのハープは1日あれば終わるのですから・・・・

私も決して上手い方ではありませんが、調律がヘタな人は以下の問題を抱えている場合が多いです。

1、調律用具をちゃんと揃えていない。

  道具が悪いと本当にムダな苦労をします。

2、早く廻してしまう。

  本当に少しの力の加減でたくさん回ってしまうので、ゆっくりすぎるぐらい慎重に廻す必要があります。

3、1つ1つの弦が合わないうちに次の弦に移ってしまう。

  ハープの倍音の問題で、中途半端な共振をして調弦が難しくなってしまいます。

4、古い弦を調律する。

  古い弦の場合に音のツヤがなく、正しい音程がわかりづらいものもありますので、弦を交換する必要があります。

  (もっとも、この判断ができるぐらいでしたら調弦もある程度はできると思いますが・・・・・)

 

また、順番に調弦していくよりは、Cだけを先に全部、その次にDと言う具合にあわせた方が耳が慣れてはやくできます。

もし、微妙に上下に狂った音程になってしまったハープの場合には、一そうのこと、全ての弦を緩めてからやり直した方が良い場合もあります。

基本的に、ゆるめた弦を低い音から徐々に音程を上げて丁度のときに止めるという考え方で練習をして、回しすぎたらまた緩める、緩めすぎたらまた締める、などを繰り返さないように心がけます。

 

参考になるかどうかわかりませんが、私の場合には、(楽器に問題がなければ)37弦のチターで20分、26弦のケルティックハープで15分ぐらいです。

 

 

 

 

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ハープの弦の張力

ハープの弦の張力はかなり凄く、普通何100kg、多いもので1トンを越えるものもあります。

従って、その弦にさらに負荷がかかっていたりすると当然ボディは耐えられなくなり、壊れてしまいます。

ちなみに、スタンウェイのグランドピアノの場合には234本の弦をあわせると35トンもかかっているそうです。

 

 

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